【#ゾッとする話】【#怖い話】小川未明「赤いろうそくと人魚」

【#ゾッとする話】【#怖い話】小川未明「赤いろうそくと人魚」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/31(火) 21:00:32.47 ID:wdj9EVb20
 連投規制らしい 「赤いろうそくと人魚」  小川未明

 人間にあこがれている人魚がいた。
 人間にあこがれるあまり「私の子は、私に育てられるより人間に育てられる方が幸せに
 違いない」と思い込み、陸に上がって出産し、子供を置いて海に帰った。

 人魚が子供を置いていったのは、小さな港町だった。
 港町には神社にろうそくをともして航海の無事を祈るという風習があり、神社の近くには
 老夫婦の営むろうそく屋があった。
 人魚の赤ちゃんを拾ったのは、このろうそく屋の老夫婦だった。
 老夫婦は赤ちゃんが人間でないことに驚いたが、老夫婦には子供がいなかったので、
 我が子と思って育てることにした。
 もちろん周囲には、自分たちが拾った赤ん坊が人魚であることは隠していた。

 人魚の赤ん坊はすくすくと成長し、少女になった。
 人魚の少女は、売り物のろうそくに絵を描いた。
 絵が描かれたろうそくはきれいだったので、ろうそくはいっそう売れるようになった。

 そのうちに「絵が描かれたろうそくを一晩神社で灯し、その燃えさしを乗って船に乗ると
 無事に港に帰ってこれる」という噂が流れ、ろうそくは飛ぶように売れた。
 人魚の少女は、手の痛みをこらえながら、一生懸命ろうそくに絵を描いた。

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/31(火) 21:05:08.94 ID:wdj9EVb20
 ある日、少女が人魚だとどこで知ったか、見世物屋が「少女を見世物用に売って欲しい」と言って来た。
 もちろん老夫婦はきっぱりと拒絶した。
 しかし見世物屋に「人魚は災いを呼ぶ。一緒にいるとあなたたちは必ず不幸になる」と
 言いくるめられ、人魚の少女を売ることに同意した。
 人魚の少女は泣いて嫌がったが、老夫婦は「人魚といたら不幸になる!」と思い込んでおり、
 聞く耳を持たなかった。

 人魚の少女を連れに見世物屋が来たとき、少女はろうそくに絵を描いていた。
 「あと少しで描き終わるので、描き終わるまで待ってください」と頼んだが、
 老夫婦も見世物屋も待ってはくれなかった。

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/31(火) 21:23:26.42 ID:wdj9EVb20
 人魚の少女は仕方なく、最後の3本のろうそくは絵ではなく赤一色に染めて家を出た。
 人魚の少女はまるで猛獣を入れるような頑丈な檻に入れられて運ばれ、船に積み込まれた。

 その日の深夜、一人の女がろうそくを買いに来た。女は3本の赤いろうそくを買って帰った。
 翌朝、女が払ったお金は、貝がらになっていた。

 見世物屋の乗った船は転覆し、人魚の少女の行方は知れない。

 人魚の少女が売られた日から、神社に灯されたろうそくの火を見た船は沈むようになった。
 人々はそれを怖れて神社にろうそくを灯さないようになったが、それでもいつの間にか
 ろうそくは灯り、船は沈み続けた。
 港町はさびれ、自分たちの罪深さに気づいた老夫婦は商売をたたんで別の町に引っ越した。

【転載元】

http://world-fusigi.net/archives/7071588.html